赤いズボンの男の子7

2001/3/11UP

(解説)
 あきらくんも甘やかされてばかりじゃないってお話。
 一回、細部を直さないとボロボロとおかしな点が出てきた気も・・・



 カランコロン。

 いつもと同じ扉の音。

 だけど、それを聞いているボクの気持ちはいつもと違って落ち込んじゃってる。

 いつもは、おねえさんやヒロシ兄ちゃんの顔を見ると嬉しくなるのに今日だけは
暗くなる。

「さ、あきら」

 それでも仕方なく、おねえちゃんに促されて喫茶店の中に入る。

「どうしたのその格好?」

 ボクは確かにピンクの服が好きだし、女の子みたいだって言われちゃう格好
だって好きだ。
 でも…

 いくらなんでもこの格好は…

「ちょっと、お仕置きに着せられてるのよね」

 顔を真っ赤にしているボクの代わりにおねえちゃんが意地悪そうに答える。

「あんたも懲りないわねえ。前に赤いズボンなんか着せるんじゃなかったって
こぼして癖に」

 おねえさんはそう言って、ヒロシ兄ちゃんに目配せをする。

「ダメよ。2階からあきらの服を持ってくる気でしょ」

「でも、あの格好じゃいくらなんでも可哀想…」

「いいの!!」

 ボクは、おもちゃ屋さんの片隅で売られていた、魔法少女のコスチュームを
着せられていた。

 しかもピンク色で、ちょっと透けてて、スカートがピラピラしてる奴。

 小さな女の子向きだから、サイズが小さくて恥ずかしい。

 この格好で、おねえちゃんに手を引かれて電車に乗せられてここまで
連れて来られたんだ。

 途中で、何度も指を指してゲラゲラと笑われた。

 しかもそれだけじゃないんだ。

 おねえちゃんは店内にお客さんが居ない事を確認してボクに命令した。

「スカートをまくってごらん」

 や、やだよ。

 恥ずかしいよ。

 だってボクは、昨日学校に履いて行った真っ赤なフンドシを締めてるんだもの。

 そのミスマッチさに、おねえさんもヒロシ兄ちゃんも爆笑する。

「そのまま、お尻見せて」

 ボクのお尻は、叩かれ過ぎて真っ赤になっちゃてた。

 ズキズキと痛むし、恥ずかしいしで、涙がボロボロと零れた。


 流石に店にお客さんが入ってくると、おねえちゃんもボクが2階に避難する
ことを許してくれた。


「アッくん、おねえちゃんがどうして怒ったのか分かってる?」

 ヒロシ兄ちゃんも怖い顔をしている。

 いつも優しそうな顔をしてるのに…

 ボクが、女の子を苛めたから…?

「それもあるけど、危ないことをしたからだよ」

 危ないこと?

「階段でふざけたら、危ないだろ?幸い大丈夫だったけど
最悪死んでたかもしれないんだよ」

 でも…

「それにアッくんは、おねえちゃんを護れるようになるって僕と約束したよね」

 う、うん。

「心配させないように白いブリーフ履いて学校に行くって、立派な男の子に
なるって」

 う、うん…

「ふんどし履いて、女の子を泣かせて、危ないことして、心配かけて……
全然、逆だと思わない?」

 だ、だって…

「反省してる?」

 う、うん。

「おねしょもしない?」

 そ、それは……

 が、頑張ってみる。

「ヨシヨシ。じゃあ僕からのお仕置きね」

 お仕置き?

 ボクは予想もしていなかった言葉に驚いた。

 でも、ヒロシ兄ちゃんがベッドの下から取り出したのは小さな柔道着だった。

「僕が通ってた道場の小学生クラスに空きがあるからそこで練習して、
1年以内に僕を投げられるようになること!」

 うん。

 ボクは大きくうなずいた。

 魔女っ子のままなのがちょっと情けないけど。

「ついでにこれもあげる。小学生サイズを探すのが大変だったんだぞ」

 差し出された紙袋の中身を見たボクは、顔を真っ赤にした。
 

 ボクは死んでも履きたくなかったんだけど、おねえちゃんは大喜びで
毎晩使わせてもらうって。

「見た目は普通のパンツだからいいじゃないの」

 股の部分が水を吸ってくれるようになているパンツなんてやだよ。

 袋に書いてあった商品名は恥ずかしくて言えない。

 ヒロシ兄ちゃんを投げ飛ばせるようになるまでには捨てちゃいたいなあ。
 

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