トイレと男の子と

1999/4/1UP

(解説)
 始めてショタを意識して書いた作品。
 男の子が恥ずかしいって言ったら、人前で、おねしょとおもらしだよなという
 安直な作品。
 タイトルも安直です。  



『元気」という言葉の似合う男の子だった。
 
 彼が半ズボンの前を押さえて『僕のトイレ』に飛び込んで来た時、
 僕は「カワイイ」と思った。


 そう、このトイレは普通のトイレじゃない。
 
 僕の魔法によって作り出された空間、

 僕が僕の楽しみの為だけに作り上げた空間なのだ。

 
 だから、あの男の子がココで体験する出来事は半分夢で半分本当。


 年齢は、ちゃんと11、2歳に見える。
 
 少しだけ白いブリーフの覗く白い短パンに
 胸に大きくクラスと名前が縫い付けられた半袖の体操服。
 
 それが、実に見事に似合っていて
 第一印象の『元気』 は主にそこから来ているようだった。

 
 彼は、焦っていた。


 理由は分かっている。


 チャックが開かないのだ。

 下にさげた筈なのにいつのまにか上にあがっている。

 僕がそうなる様に魔法を掛けたのだ。

 何度も何度もチャックをガチャガチャとやっている間に、
 だんだんと焦りの表情がキツくなっていく。


 やがて、彼は意を決して、短パンをブリーフごと引き下ろした。

 まだ微かに蒙古斑の残る青みを帯びたお尻があらわになる。

 が、それも一瞬のことで次の瞬間には、又短パンを履いているのだ。

 彼は、パニックに陥っていた。

 (どうなってのこれ?) 

 (もう漏れそうなのに……目の前にあるのに……)


 (ど、どうしよう)

 
 破裂しそうな膀胱のタイムリミットは刻一刻と迫ってくる。

 
 僕はタイミングを測って実体化して、ポンと肩を叩いてあげた。

 「どうしたんだい?顔が真っ青だよ」

 
 男の子は本当にビックリした様子で一瞬ビクッと動いた。

 
 次の瞬間、彼の股間から、じゃあじゃあというみっともない音を
 出しながら薄い黄色をした液体がほとばしった。


 下半身の2枚の白い布をグッショリと、濡らしてポタリポタリと
 床へ滴り落ちる。


  「……ひっく、ひっく……ズボンが、ズボンが脱げなくて……」
 
 彼は、顔をグシャグシャにして涙ぐんでいた。

 
 ちょっと背伸びをしていて、格好をつけているような元気少年。

 普段の彼なら絶対に見せない幼稚園児に戻ってしまったような表情

 僕は、そのカワイイ表情に満足していた。

 「そのままじゃ気持ち悪いだろうし、風邪を引くからね」

 
 僕は、そういうと彼の短パンとブリーフに手を掛けて下ろし始めた。


 「あれ?さっきまでは……」

 
 そう、さっきまではどうしても脱げなかったのだ。
 それが嘘の様にあっさりと脱がされて行く。


 「とりあえず、そこの手洗い場で洗って固くしぼれば大丈夫だろう」

 
 僕がそういうと彼はコクンとうなずいた。


 「でも、その歳になってひとりで、
  おしっこも出来ないっていうのは問題だなあ」


 「ち、違う、何でか分からないけど、チャックが下りなくて、
  ズボンも脱げなくて……」


 「ひとりじゃパンツも脱げないんだ」


 「だから違うって……」


「違わないの。だから、おむつなんかしてるんだろ」


 彼は下半身に違和感を感じて下を向いた。

 いつの間にか、おむつをあてていた。
 
  「こ、これは……」
 
 これ以上無いぐらいに顔を真っ赤にして
 最大級の恥ずかしさにワナワナと体を震わせている。

 
 もうひと押しすれば、また顔をグチャグチャにして泣き出しそうだ。


 「ぷっ!」

 
 僕は、とうとう吹き出してしまった。


 「ごめんね、これは半分夢なんだよ」


 「夢?」


 「そう、僕は夢魔、つまり夢の魔物なんだよ。
  ちょっと君をからかってみたんだ」


 「……ひ、ひどいよ」


 「君が望むなら、これを現実にもできるけどね」


 「どういうこと?」


 「夢なら目が覚めてそれでおしまい、
  現実にして欲しいなら適当に辻褄を合わせて何とかするけど」


 「もちろん、夢にしてよ」


 「いいのかい?」

 
 僕はニヤリと笑った。


 「こんなこと現実にされちゃたまらないよ!」

 
 彼は必死になって、これを夢にしてくれと主張する。


 「ところで君は何故、体操服なんて着て寝てるんだい?」


 「?……それは修学旅行の最中だから…」


  彼は自分の台詞にハッとして何かに気が付いた様だった。


 「夢の中で、おしっこしたらどうなるか知らない筈ないよね」


  そう、それが彼の気が付いたことだった。

 
 男の子の、もじもじとした困った顔は
 実におもしろくて見ていると楽しくって笑えてくる。


 「ははは。嘘だよ。最初から全部が夢、
  目が覚めても布団は濡れていない様にしておいてあげるよ」


 「本当に?」


 「本当、本当、安心して目を覚ましなさい」

 
 彼の姿は、喜んだ様な怒った様な複雑な表情を残して消えて行った。


 さてと、僕は嘘はついていないよ。
 
 ただ、彼がズボンの下に履いている、
 濡れたおむつをどう言い訳するのかは知らないけどね。

 
 今夜は随分と遊んだから、彼が目を覚ますのはクラスでも最後の筈。

 
 だから言ったろ、半分夢で半分が現実って。

 

TOPへ戻る