弟くんの受難

2000/01/20UP

(解説)
姉の横暴に苦しむ弟くん。
でも設定的にはシスコン、ブラコン気味なんですよ、この2人。


 涼子は、壁に耳をあてた。
 
 隣には小学生の弟とその友達がいる筈だった。


「はあ、はあ…」

 男の喘ぎ声が聞える。


「俺もうイヤだよ」


 弟の友達の声が聞える。


「ナニ言ってんだよ、これからが本番なんだぜ」

  これは弟の声だ。
「はあ、はあ…」

 男の喘ぎ声は、まだ聞えて来る。


 ブーンという微かなモーターの唸る音もする。


「や、やだよ…そんなの入れちゃ…」


  男の声がする。

 涼子は確信した。


 すっくと立ち上がると、弟の部屋へと向かった。




「くおら、このクソガキども!」


  涼子は、弟の涼平と2人の友達を怒鳴り付ける。

「小学生の分際でナニ、考えてんだ」

 
  友達…山口くんと竹内くんは神妙な表情で涼子を見詰めて許しを乞おうとしたが、
涼平は違った。


「なんだよ、姉ちゃんだって、中学生じゃんか!混ぜて欲しいんならそう言えば
いいだろ」


  その台詞を聞いた涼子は涼平を殴り倒した。

「バカか、お前は!」


「痛ってえ…何すんだよ。俺たちだって男だぞ!エロビデオぐらい観たってい
いじゃないか」

  期待した人には申し訳ないが、彼らはエロビデオの鑑賞会を開いていたのだ。

「わたしが問題にしてるのは、そういうコトじゃない!別にお前等がエロビデオを
観ようとマスをかこうと構わないが…」


  3人の男の子はビクっとする。

「よりによって、ホモのビデオを観ることはないだろうが!」


「たまたま、手に入れたのが、そのテープだったんだよ!」

「問答無用!全員そこに正座!!」

  涼子は3人を床に正座させた。

「さてと…自分たちが悪いことをしたと反省してる者は手を挙げて」


  3人はオズオズと手を挙げる。

「よおし、分かってるみたいだな。ならお仕置きするから全員ズボンとパンツを脱げ」


 一斉に3人が騒ぎ出す。


「えーっ、何でそうなるんだよ」


「そうだよ、涼子さんて変態だあ」

「14歳未満だと合意の上でも罪になるんだぞ」

  ダン!

 涼子は壁を叩くと、涼平のズボンとパンツを引き下した。


「ばか、ナニ考えてんだよ。変態姉貴!」


  他の2人もゴクッと唾を呑む。

「変態はお前の方だろうが、お仕置きって言ったらコレに決まってるだろうが!」


 涼子は涼平をひざの上に抱きかかえるようにすると…


 ピシャリ、ピシャリとお尻を叩き始めた。


「痛てえ!」


「当たり前だろうが!わたしだって手が痛いんだから」

「手が痛くなるほど、叩くなよ!」

「生意気だから更に10発追加な」

  山口くんと竹内くんは、見る間に真っ赤になっていく涼平のお尻を見て恐怖を
感じていた。


  次は自分達の番なのだ。

 気の強い涼平が涙を浮かべている。


「ね、姉ちゃん、ごめんよお…謝るから許るして…」


  やっと開放された涼平は、顔を涙でグシャグシャにしながらパンツを引き上げよう
としたが、その動きが途中で止まる。


「どうした?」

「…痛くってパンツが上げられない」

「そんなもん!」

  涼子は脱がした時と同じように強引にパンツを引き上げた。

「ぎゃあ!!」


  涼平が大袈裟な悲鳴をあげる。

「ひ、酷いよ。姉ちゃん」


「これに懲りたら良い子にしてることだね」

  涼平は立ったまま座ろうとしない。

 いや痛くて座れないのだ。


「さてと…」

 
  涼子が残る二人の方を振り返った。

 2人ともこれ以上ないぐらいに恐怖の表情を浮かべていた。


 気の弱い竹内くんなんか、既に顔が涙でグシャグシャになっている。

 
 山口くんは観念してズボンを脱いで、パンツに手を掛けた。


「あ、いいよ、脱がなくって。涼平を叩き過ぎて手が痛いから、あんたらは許して
あげる」


「えー、何だよそれえ」

「やかましい!」

  涼子に突き飛ばされた涼平が尻餅をつく。

 途端に、

 「痛ってえ!」
 と叫んで飛び上がる。

 2人は、喜ぶべきなのかどうか迷ったが取り敢えず、部屋を去って行く涼子の
姿を見送った。


「だ、大丈夫か?」

「さ、触るなよ。マジでメチャクチャ痛いんだぞ」

「姉貴の野郎…あっ!」

「どうしたんだ?」

「ホモのエロビデオ持っていかれちゃった…」

  女子校に通う涼子はビデオをダビングして売りさばき、大いに利益を上げたという。



「結局、オレって叩かれ損じゃんか」

  涼平は、ベッドにうつ伏せになりながら呟いた。

 彼はまだ知らない。


 涼子が部屋に布団叩きを隠していることを。
 

TOPへ戻る