ぼうけんき
第6話後編『姫様大暴走!

2005/07/02UP・2010/04/24修正


RPGのようなファンタジーの世界。
そこに3人のショタっ子がおりました。
 
それは冒険者ですらない彼らの無軌道な冒険の物語。
 
 
「おい?大丈夫かウサギっ子」

声が遠い。

それになんか首の辺りが重い。

チャラッ

鎖?首輪?

「ふふふ、まずは1人目ゲットっ!」

姫様?

がばっ!

「い、痛てて・・・」

鉄のわっかが首に喰い込む。

「おとなしくしてれば痛くないから」

「姫様?何でこんなところ・・・いっ?」

元々、上半身は裸だったドーリーだが下に穿いていた大きなパンツの代わりに小さなピチピチの黒いパンツを穿かされている。

丸いウサギ尻尾がよく目立つ。
精神を集中して、尻尾、それに飛び出しているウサギ耳と角を引っ込める。

「だめよ、引っ込めたら可愛さ半減だから」

「・・・」

「あはは、アインを元に戻させたらちゃんと解放してあげるから」

ぎゅっ、すべすべ。

「お肌もツルツルで女の子みたい。女の子みたいな綺麗な顔してるのに・・・そのギャップが素敵」

じーっ。

ドーリーは慌てて、もっこりした膨らみの分かるパンツの前を隠した。

ちょっとアインやツヴァイに比べてかなり大きいことはコンプレックスなのだ。

「さっ、行こうか」

ぐい。

姫様は金髪碧眼のバニーボーイを犬のように引きながら歩み始めた。

バタン!

乱暴に扉が開け放たれる。

「姫・・・」

むぎゅっ

部屋でうつ伏せにのびていたツヴァイが何かを言う前に姫様が馬乗りになる。

「ああ、もうどうしてどいつもこいつもおっさんくさい格好ばかりしてるのよ」

ツヴァイはゆったりとした大きなシャツに大きなパンツ。

「しかもデカパンの下にブリーフなんか穿いてるし!」

流石に一度落として恥を掻くと慎重になるらしい。

「ひ、姫様、どうしてこんなところに?」

ぎゅっ。

無言で首輪が嵌められる。

「よし、二人目ゲット」

「問い掛けに答えてください!」

「尻尾だして、尻尾、尻尾!!」

「・・・聞いてないなこの人」

にゅっ。

ツヴァイは仕方なく尻尾と翼を出す。

「ふふふ、こうすると楽しいことに」

姫様はツヴァイの尻尾で後ろ手にしたツヴァイの両手を縛る。

「や、やめてください・・・尻尾は敏感なんで感じちゃうんですから」

「アインを男の子に戻したら解いてあげるから我慢しててね」

「とっくに自分で呪文を唱えて元に戻ってますってば・・・」

沈黙、気マズイ空気。

「・・・ちょっとアインを探してくるから2人は・・・そうねオナニーでもしながら待っててくれる」

首輪の魔力、命令には逆らえない。

「・・・」
「・・・」

顔を見合わせるツヴァイとドーリー。
 
「あはっ、困ってる困ってる」

姫様は笑いながら2人の頭を撫でる。
 
「本気にした?」

「本気も何もこの首輪をして命令されれば勝手に体が・・・」

「姫様、命令を解除してくれないと・・・ぼく、手が勝手にっ!」

ドーリーは恥ずかしそうに小さな黒いパンツの中に手を突っ込んでいる。

ツヴァイは両手を縛られているので床に擦り付けている。

「ごめんね〜っ、アインを連れてきたら3人一緒に触ってあげるからね」

バタンっ!



「えっと、アインは・・・っと・・・何よアレっ!!」

黒髪に黒い瞳、少し太い眉毛の少年は2人の女性の間で照れ笑いしながら歓談している。

黒い服の女性が少年にぽっぺにキスをすると白い服の女性も負けじと反対のほっぺにキスをする。

「浮気者・・・死刑がいいか、それとも去勢・・・」

姫様は悔しさと嫉妬が入り混じった恐ろしげな表情で2人の女性に挟まれてデレデレとしているアインを睨んだ。

「あ・い・んっ!!」

「うわっ!なんで姫様がココに?」

「よかったらその恋人さん達を紹介してもらえるかしら」

うわっ、怒ってるよ。

鈍いアインでもそれぐらいは感じ取れた。

「ミッドガルドで〜す。みーちゃんって呼んでください」

黒い服の女性が勝手に答える。

年齢的にはアインのお姉さんのようにも見えるセクシー路線の女の子だ。

「ヒルデガルド・・・ヒルダです」

と白い服の女性。

黒い服の女性と同世代に見えるが少しだけ清楚っぽい。

「私のアインとはどういう関係なのかしら?」

「大好きなご主人様です」

「・・・大切なマスターです」

ぷちん

何かが切れる音がした。

「あ、あの姫様、これはですね・・・」

「去勢決定。魔法でも絶対に戻せないように切ってあげるから楽しみにしてなさい」



かぽん。

ツヴァイとドーリーは疲れた表情で浴槽に浸っていた。

「今日は本当に疲れた」

「色々なことがあった・・・」

体力の限界が来る前にお師匠様に首輪の魔法を無効化して貰った2人だったが首輪はまだ外れていない。

「魔法使いの弟子の癖にそんな初歩アイテムも無効化できないとは情けない」

お師匠様の声だけが響いてくる。伝達魔法だ。

「自力で解除できるまでそこから出て来るな」

首輪の魔力による強制力が働く。

「≧Ν÷〇☆〆・・・」

「≧Ν÷〇☆〆・・・」

湯船の中で必死に呪文を唱え続ける2人。

「もう少しで夕食だがそれまでに帰って来なかったら抜きになるからそのつもりで」



男湯に声を伝え終えたお師匠様は顔を上げる。

「さてと次はアインと姫様か・・・」



「ひ、姫様、話を・・・」

「ふふふ、このペンチで引っこ抜いてあげる」

こ、恐い。

何処からか取り出した巨大なペンチをカチカチと閉じたり開いたりされて股間を狙われて恐くない筈が無い。

「みーちゃん!ヒルダ!元の姿に戻って!!」

アインは状況を愉快そうに眺めていた2人に叫ぶ。

どろん。

薄い煙と共に尻尾と魔剣がゴロリと転がる。

「淫獣と魔剣なんですってば!人化してたんです!!」

「相手が人間でなくとも浮気は浮気・・・私以外の女にデレデレと・・・」

電気按摩炸裂。

「だ、だめです・・・つ、潰れる〜っ」

「浮気できないように念入りに・・・」



数分後。

「あの、そろそろ勘弁してやって貰えませんか?」

お師匠様がボロボロになったアインに回復魔法をかけながら姫様に言った。

「絶対に許さないんだから!」

「アインも別に浮気する気があったわけでもないんですし・・・そもそも魔剣と淫獣を送ってきたのは姫様の方で・・・」

「そうです!俺は姫様一筋ですからっ!!みーちゃんとヒルダはアイテムなんだし」

「そもそも、姫様はアインに構い過ぎです。アインじゃ結婚相手にもならないでしょうに」

「・・・お師匠様・・・酷い・・・俺のささやかな夢を・・・」

「ドラゴンスレイヤー・・・」

「はっ?」

「そうよ、アインが勇者になれば問題はクリアよ。宮廷勤めの文官の息子なんだからその歳でドラゴンを退治したとなれば結婚相手でもおかしくない」

「姫様・・・コレを婿にしたら国が滅びます。まだツヴァイかドーリーの方がマシ・・・」

「決めたっ!3日以内に竜を退治して。ツヴァイとドーリーは一緒でもいいけどエヴァは同行しちゃダメ」

「無理です」

「できなかったら、弟子を3人並べてお婿にいけない身体に・・・」



 お師匠様は3人の弟子と人化した2つのアイテムに言った。

「・・・とまあそんなわけで丁度近くに温泉竜もいることだし退治することになった」

「アインはお婿さんという特典があるけど僕達はメリット無し?」

「ズルイよそれ、命がけで竜退治させられるのに」

「姫様と結婚・・・(でれでれ)」

「まあ、褒美ぐらいは頼んでやるから・・・ところで・・・旅館の布団に寝小便した馬鹿は誰だ?」

 3人は一斉にそっぽを向く。

(こんな子供に竜退治なんかできっこない何とか手を考えないとな)

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