Dr.山田の痔の薬(軟膏坐剤等)処方公開


私の薬投与方針(基本)の現状を公開いたします。痔の薬(内服、外用坐剤)は原則として、軽度、中等度の外、内痔核、裂肛治療時に投与しております。尚、高度痔疾患(重症)のものには、手術をおすすめしております。尚、痔瘻や肛門周囲膿瘍には、坐剤等は効果がありません。 ー1医師の話としてご参照くださいー

 <痔疾の薬物(坐剤等)療法百科へ戻る> 

 

外来で扱う痔の疾患、症状別ドクトル山田の「痔薬処方例」

(痔疾患名、症状をクリックして下さい。)
 外痔核   内痔核出血   内痔核初期   内痔核脱肛   内痔核炎症疼痛
裂肛(きれ痔) 痔瘻、肛門周囲膿瘍  痔坐剤等の使用法、期間Q&A  


 外痔核

症状
投与薬剤

突然、肛門の外側に、大豆大の腫脹が起こり、ズキズキ痛む。

ボラザG軟膏(非ステロイド)、または、強力ポステリザン軟膏ネリプロクト軟膏等(ステロイド含有)、「軟膏型」坐剤を塗布挿入7ー14日間投与。                      内服薬:抗生物質*を消炎酵素剤などを3日間併用投与ありうる。(炎症症状強いときに補助的*に使用)

 内痔核1

症状
投与薬剤

主に出血を主症状とする場合

ヘルミジンS坐剤、または、ルブリテックス坐剤を(一日2回)14日間程度投与。

併用:ポステリザン軟膏などステロイド軟膏。内服薬:アドナ錠やヘモクロン錠など併用することあり。                    


 <タイトルに戻る>

 内痔核2

症状
投与薬剤

脱肛もなく、出血が少々のみの初期の内痔核の場合       (第1ー2度内痔核)

 ボラザG坐剤(軟膏)、ボラギノールN坐剤 など非ステロイド坐薬を投与。最大限1ー3カ月まで。 また、強力ポステリザン軟膏を短期併用することもある。

内服:サーカネッテン錠投与。乙字湯(漢方製剤)など併用することもある。            

 

 内痔核3

症状
投与薬剤

脱肛がひどい場合(第3度)  ただし炎症はない場合。

ボラザG坐剤(軟膏)+ポステリザン軟膏併用。1ー2カ月  

内服:サーカネッテン錠。乙字湯(漢方製剤)など併用することもある。


 <タイトルに戻る>

 内痔核4

症状
投与薬剤

痛み激しく、はれ(腫脹)炎症(但し、化膿、感染を除く)症状の場合。

ボラザG坐剤+ネリプロクト軟膏(ステロイド系)。又は、ネリプロクト坐剤+ボラザG軟膏

 以上どちらかを 7ー14日間くらい限度投与  内服サーカネッテン錠2週間。抗生物質*(3日間)         


 <タイトルに戻る>

 急性裂肛 (第1ー2度)     
症状
投与薬剤

急にきれ痔になり、ズキズキ痛む(新鮮裂肛)

ボラザG軟膏(非ステロイド)やプロクトセデイル軟膏、強力ポステリザン軟膏(少量ステロイド含有)等、消炎作用+キシロカイン加 軟膏挿入塗布。

内服薬:カマグ(緩下剤)等併用投与。ユベラ(ビタミンE)併用投与。          

 慢性裂肛

(第3度)          
症状
投与薬剤

見張り疣や肛門ポリープを伴う難治性持続的慢性裂肛 :いつも排便後長く頭に響くような痛み。

ボラザG軟膏(非ステロイド系リドカイン加)をやや長期に使用。短期的には、急性裂肛と同じ軟膏。

激痛時: ボルタレン坐薬(神経痛などの痛み止め)使用することあり。(一時的)  手術が望ましい


 <タイトルに戻る>

 痔瘻

症状
投与薬剤

肛門周囲からじくじくと膿がでる ときどき腫脹して痛む。

フロモックスやセファメジンなど抗生物質内服短期投与、ゲンタシン軟膏局所塗布(一時しのぎ)

外来処置 2次口切開など必要 、セトン法など。       ( 又は入院根治手術が必要。 )

 肛門周囲膿瘍

症状
投与薬剤

肛門周囲が腫脹し発赤、発熱があり、激しく痛む。(ただし直腸内高位膿瘍では皮膚の発赤はない)

抗生物質(内服用)投与 + 消炎酵素剤投与        ゲンタシン軟膏塗布(切開後)

*坐剤は効果がない必ず「膿瘍切開処置」必要!           


    <タイトルに戻る>   

                 
坐剤軟膏の使用法と使用期間Q&A
Q?

1、慢性の内痔核ですが、完全に直そうと、まじめに長期間(半年以上)使用していますが?

1、内痔核は、残念ながら坐剤では、決して完治しません。はれ、脱肛、炎症などの症状が多少軽快したら、一旦使用を1ー2カ月で中止して、また、悪くなったら再開するという方針が良いのです。中等度の内痔核は、むしろ肛門括約筋運動とか、正しい便通が大切です。

2、急にきれ痔(裂肛)になりました。痔外用薬をどのくらい使用したら良いですか?

2、急性裂肛には、非ステロイド軟膏剤を一日2回挿入塗布します。使用期間の目途は約2週間です。また、野菜食、緩下剤などを併用して便秘を治すこと。初期なら完治します。

3、脱肛で坐剤をいれると便通はよくなりますのでずっと坐剤を使っています。痔と脱肛は良くなりません、でも、手術はごめんです。

3、ひどい脱肛は手術をおすすめします。長い間半年以上痔の薬を使うと、皮膚炎など副作用がおこることがありあります。しばらく休止期間を必ずいれましょう。どうしてもというなら、「”ステロイドのない”坐剤」を使用するようにして下さい。

4、慢性きれ痔で排便痛で困って、痔坐剤使用していますが、便秘もあり、症状は少し良くなったり悪くなったりで....、でも坐剤は続けています。

4、慢性のひどい裂肛は手術で良くなります。やむをえないのでしたら、野菜食、緩下剤で便を柔らかくすることがもっとも大切ですが、軟膏坐剤でステロイドのないものを、使用してください。中止期間必要です。

5、痔瘻で坐剤を使用しています。

5、痔瘻(肛門周囲膿瘍)には坐剤は効果ありません。中止して、すぐに、肛門科専門医を必ず受診すること。


       <タイトルに戻る>      

                <痔疾の薬物(坐剤等)療法百科へ戻る>