☆ 新春座談会 その1 ☆

マクスロウ(以下、閣下)
 新年おめでとうございます。アルフェリオンお正月スペシャル、総合司会は銀髪のナイスミドルこと、マクスロウ・ジューラです。
シソーラ(以下、姐さん) あらら、自分で言いますか? 本編と比べると、微妙にキャラが壊れているような気がしますねぇ……。明けましておめでとうございます。アシスタントのシソーラ・ラ・フェインです。
閣下  君は本編と同じく、手厳しいな。
姐さん 気のせいですってば。それにしても私たち2人、出だしからいきなりマイナーな組み合わせだと思いません?
閣下  渋い――選択だと思うが? あるいは通好み、玄人好みのキャラというべきか。
姐さん さすがは閣下、物は言いようだわね(あっさり)。さて、時間が押してますので、さっそく始めちゃっていいかしら、もとい、開始させていただきたいと思います。
閣下  今のは「笑うところ」なのだが……。黙殺するか、君?
姐さん (無視)。さて、まずは昨年の物語を振り返りつつ、今後のストーリー展開を予想する「ネタバレ御免! 新春座談会」です。 はい、拍手ぅー!!
 <会場の観客から盛んな歓声。>
閣下  何と言うか、分かりやすいタイトルを付けたものだな。「失言の応酬、新春座談会」でも良かったかもしれない……。
姐さん そうね。「新春座談会 ここが変だぞアルフェリオン」なんていうのも捨て難かったんだけど、製作者サイドから圧力がかかったみたい。さて。そこで今回は、第2回登場キャラ人気投票の上位5位までの方々と、5位以下ながらも注目すべき方々をゲストにお招きしています。
閣下 (咳払い)。私は「5位以下ながらも注目すべきゲスト」なのかな、それとも……。
姐さん お戯れを。た・だ・の・司会ですってば、閣下。
閣下 (泣)。
姐さん あ、突然ですが、ただいま入った連絡によりますと、全国3百万人のお嬢様主義者の皆さんにとって大変残念なお知らせがあります。
閣下  3百万――どこから出てきた数字かね?
姐さん 推計でしょ。で、人気投票第5位のカセリナ・ディ・ナッソス嬢は、門限を過ぎたため今回は参加できません。さっすが公爵家(笑)。カセリナ嬢に代わって、ファンの方々に深くお詫び申し上げます。でも別にいいじゃない、あたしだって一応はお嬢さまなんだし! お呼びでないって、かせりん(暴言)。おほほほほほのほ。
閣下 正確には「元」お嬢さまでは?
姐さん あーら、何か聞こえたかしら? 幻聴? カセリナさんに代わってピンチヒッターとして登場のゲストは、昨年のアルフェリオン一番のアイドル、アレス・ロシュトラムさんです!
アレス ヤッホー! みんな元気か!? 俺が主・人・公のアレスだ、今年もガンガン暴れまくるぞっ!!!
姐さん あの……。主人公は、一応、ルキアン君なんですけど?
アレス 誰、それ? 分かったぞ、さては悪者だな!?
姐さん (冷笑)。そういえば、二人はまだ本編中では面識がなかったわねぇ。
アレス それでコイツが俺の親友、レッケだ。
レッケ (遠吠え)。
姐さん 勝手に犬を連れてこないでください。それに、人の話聞け!
アレス 犬じゃねぇー!(^^;) 魔物だー!!
姐さん あらそう。では訂正します。魔物を勝手にスタジオに入れないでください(←淡々と)。はい、それでは次の方を。
アレス で、これが俺の相棒、サイコ・イグ……
 <突然の大揺れにざわめく観客たち。>
姐さん スタジオを壊さないでください、アレスさん(怒)。
 <アレス撃沈。>
閣下  恐るべしシソーラ。さすがラプサーを仕切っている大姉御だけのことはあるな。
姐さん 何か?
閣下   いや、特には。続けてくれたまえ。
姐さん はい。お次はクレドールの良心こと、船医で神官のシャリオ・ディ・メルクールさんです。
シャリオ(以下、女史) ただいまご紹介に預かりました、ディ・メルクールでございます。本年も皆様のご多幸を……(以下略)。
姐さん (メモをしげしげ見ながら)ところでシャリオさん、何だか不思議な肩書きをお持ちねぇ。神官で女医さんって、出来過ぎと言いますか、とっても不自然じゃない?
女史  よく分からないのですけれど――殿方の中には「おいしい設定のキャラ」だと褒めてくださる方もいらっしゃるそうですわ。ありがたい事です。
姐さん 褒めているわけでは、ないと思うんですが?(苦笑)
女史   そうなのですか。わたくし、世の中に疎いものですから……。
アレス  いいじゃん。俺はカッコイイと思うぜ、シャリオおばちゃんのこと。
 <観客、引きまくり。>
女史  何かおっしゃいましたかしら? よく聞こえなかったもので(微笑)。
アレス 素敵だって言ったんだってば。お・ば・ちゃ・ん
姐さん あらぁ〜? アレス君の故郷ラプルスの方言では、「きれいなお姉さん」のことを「おばちゃん」と言うのかしら? 無事に最終回まで活躍したいのなら、それは絶対に言ってはならない台詞ですよぉ。
 <アレス、再び撃沈。>
閣下   さ、さぁ、気を取り直して次の方の紹介を。
姐さん はい。お次は……。あら? 今度のゲストは少し暗――いえ失礼、寡黙な方ね。
エルヴィン(以下、エル) ふふふふ……。くすっ。
 <会場、しんと静まり返る。>
姐さん 今あやしい笑い声が聞こえなかった? ま、いいか。クレドールの謎の美少女こと、エルヴィン・メルファウスさんです。
エル  私には見える。新たな年、世界に訪れるものは……。
姐さん おーっと、これは驚愕。エルヴィンさん、早くも何処からか怪電波が聞こえてきたようです! 申し訳ございませんが、スタジオで予言というのはちょっと番組が違うような。すいません、楽屋かどっかでやってもらえないかしら。ちょっと、聞いてる?
エル  くすっ。
姐さん (かなり怖いかも)。は、はい。それでは次の方は、地味でおとなしい少年……。
閣下   (小声で)。シソーラ君。その紹介、他のゲストのものと間違っていないかね?
姐さん スタッフから渡されたメモには、そう書いてあるんだけど。
閣下   「主人公の」だろう? 主人公でアルフェリオンの乗り手の……。
姐さん お言葉ですが閣下、そんなことはどこにも書いてありません。ほら、見てください。読みますよ。「地味で暗めの18歳の少年、るつきー。魔道士、カッコ・見習い・カッコ閉じる。」
閣下   確かに。「裏の」という但し書きが付いているものの、アレス君が「主人公」だと明記されていることだし。
ルキアン(以下、るつき) あ、あの。僕、やっぱり、帰ったほうがいいですか? そうですよね。いいんです。僕は、僕はどうせルキアンだし……。帰ってコタツでミカンでも数えてます。
閣下   なんとかしたまえ。ゲストがグレ始めたぞ。
姐さん そうですね。会場のお客様からも激しいブーイングや帰れコールが。皆様、よくお聞きください。彼が主人公の……。
アレス はい? 俺に何か用? (しっかりカメラ目線)。
姐さん (怒)。真の主人公。真・の・主人公こと、ルキアン・ディ・シーマー君です!
るつき ぼ、僕、ルキアンです。なぜか主人公やってます。本当に僕なんかでいいのかなぁ……。
アレス オッス! 俺と仲間たちが大活躍するSFファンタジー、『アルフェリオン。』 毎週土曜、見てくれよな!!
姐さん (横目で無言の重圧)。
閣下  アレス君、もう少し自重してくれたまえ。彼女が怒ると、妹分のメイより怖いらしい。
アレス ジチョーって何だ、おっちゃん!? それって、社長より偉いのか?(^^;)
閣下  (険しい横顔。眉間にしわを寄せる)。いかん。早くもこの番組に不安が……。
メイ  ちょっと!(怒) 誰より怖いって?
閣下  ゲストの方、勝手に登場してもらっては困りますね(冷汗)。
メイ  堅いこと言うんじゃないの。はーい、シソーラ姐さん! 元気ぃ? 新年めでたいわね〜。
姐さん あははは。でもって、あたしたちもおめでたい(笑)。メイ、今年もよろしくねぇ! ところでさ、今度あそこにできた新しいお店なんだけどぉ(大声)。
メイ  うんうん、知ってる知ってる。ランチが結構イケてるよね、えへへ。あはは、ギャハハハハ(騒々しい)。
閣下  女という字を3つ書いて、「かしましい」ではなかっただろうか? 君たちは2人でも……。
るつき あ、あの――僕は、どうしたらいいんでしょうか。
メイ  キミは黙って座ってなさい、ルキアンなんだから! それより姐さん、今度のお休みっていつ?
閣下  視聴者の皆様、どうかチャンネルはそのままで……(平謝り)。
アレス なかなか始まんないから、勝手にストーリーの紹介いくぞ! 俺、主人公アレスが旅立ったのは、忘れもしないあの日のことだったーっ!!
 <聞き入る観客。>
女史  困りましたね……。ディレクターさん、どうしましょう? エルヴィン、ここはひとまずクレドールに帰りましょうか。
エル  (無言でうなずく)。
閣下  収拾が付かん。誰か止めてくれたまえ。め、めまいが……。エリートは予定外の事故に弱いのだよ(^^;)。
 <突然、背後の大画面モニターに画像が浮かぶ。ざわめく観客。>
 <スポットライトに照らされ、クレヴィスが登場。>
クレヴィス(以下、副長) (なぜか、ややエコーの聞いた声で)こんにちは。クレドール副長の、クレヴィス・マックスビューラーです。
アレス す、すっげー! どこから出てきたんだ。手品、いや、イリュー○ョンか?
副長  ちなみに私はマジシャンではなく、魔道士ですよ(微笑)。スタジオがなにやら騒然としていますが、さっそくVTRをご覧ください。
女史  さすがはクレヴィス副長、これで私たちも救われましたわ……。
副長  このコーナーでは、ゲストの私とメイが進行役をつとめさせていただきます。メイ、あなたも早くこちらに来てください。
閣下  ふっ。どうやら落ち着いたようだな。(斜めからカメラ目線)。クレドールにその人ありと言われるクレヴィス氏だけのことはある……。
姐さん 何を気取ってるんですか、閣下。ちゃんと仕事してくださいな!
閣下  (汗)。それではクレヴィスさん、メイさん、早速お願いします。

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