第1話から第10話までのあらすじ   第11話以降のあらすじ

第1話 白銀のアルマ・ヴィオ  

帝国軍と連合軍との間で、巨大な生体兵器「アルマ・ヴィオ」による戦争が続いていた。中立的立場を維持してきたオーリウム王国も、ついに連合軍支援を決定。だが帝国側を支持する人々は、それに反抗して内乱を引き起こす。そんなとき、王国に住む魔道士見習いのルキアンも大事件に遭遇する。彼の師が「旧世界」の遺産を発掘・復元して造り上げたアルマ・ヴィオのひとつ、アルフェリオン・ドゥーオが何者かに強奪されたのだ。現場に居合わせたルキアンは、謎の声に導かれ、ドゥーオと共に造られたアルフェリオン・ノヴィーアに乗り込んで対峙する。ドゥーオは去り、入れ替わりにルキアンの前に現れたのは、エクター・ギルドのメンバー、メイとバーンだった。
第2話 飛空艦クレドール
メイとバーンの口から衝撃的な事実が明らかになった。ガノリス王国の都バンネスクが、帝国軍の誇る浮遊城塞エレオヴィンスの攻撃によって、跡形もなく壊滅したというのである。運悪くこの街に出かけていたルキアンの師の生存は、絶望的だった。ルキアンと、師の末娘メルカは、立て続けに起こる不幸に呆然とする。メイたちに保護された2人は、彼らと共にギルドの飛空艦クレドールに向かうことになった。だが時を同じくして、港の沖合に停泊する同艦に反乱軍が奇襲を仕掛けてきた。ガークス艦長率いる「ギベリア強襲隊」の砲火が、クレドールに向けられる。アルマ・ヴィオで海上を飛んでいたメイとルキアンも、敵の飛行型アルマ・ヴィオの群に急襲されてしまう。

第3話 覚醒、そのとき

反乱軍の飛空戦艦ガライア3隻の前に、クレドールは苦戦を余儀なくされる。しかも敵方には、「黒の貴公子」の異名を持つ凄腕のエクター、ミシュアスまでもが加わっていた。メイとルキアンも、ミシュアスたちによって次第に追いつめられていく。仲間やルキアンを救うため、メイは自ら犠牲になって敵のアルマ・ヴィオを引きつけようとする。ルキアンの乗ったアルフェリオンは海面に落下し、さらに深く沈んでいく。意識を失いかけるルキアン。そのとき、謎の声が再び語りかけ……ルキアンはアルフェリオンに秘められた「ステリア」の力を覚醒させる。旧世界滅亡の遠因になったとも言われる、想像を絶するステリアの破壊力は、敵アルマ・ヴィオを圧倒、ガライア2隻をも瞬時に撃沈する。
第4話 青い月の夜に
ルキアンたちを乗せたクレドールは、エクター・ギルドの本部があるネレイの街に向かう。内乱勃発に対処するため、同艦は一刻も早く帰還しなければならなかった。そこで行程を短縮するため、クレヴィスはパルジナス山脈を越えていくことを提案する。だがパルジナスは、この世界と異空間「パラミシオン」が境を接する場所であり、多くの飛空艦がこれまで行方不明になっている魔の空域だった。「青い月」の闇夜の中を飛行し、山脈を越えようとしていたクレドールの前に、雲ひとつない青空が突如として開ける。異空間パラミシオンに迷い込んでしまったのだ。同じ頃、反乱軍の拠点を包囲するオーリウム議会軍の陣地が、正体不明のアルマ・ヴィオの攻撃を受け、莫大な損失を被る……。

第5話 陽炎の国

パラミシオンに入り込んでしまったクレドールは、途方もない大きさの肉食植物に絡め取られ、航行不能に陥る。だが本当に恐ろしいのは、この空間特有の極端に遅い時間の流れ方なのだという。元の世界では、ネレイのエクター・ギルド本部にて、ギルドのグランド・マスターであるデュガイスと、議会軍のマクスロウ少将との会談が行われていた。帝国軍に対する守りの要となるはずの、王国の誇る「レンゲイルの壁」――だが反乱は、まさにこの要塞線から勃発したのである。「壁」の中枢である要塞都市ベレナは、反乱軍の拠点となっていた。帝国軍の到着までに、この要塞線に立てこもる反乱軍を鎮圧しなければ、帝国の侵攻をくい止める術はない。攻めあぐねる議会軍は、ギルドの支援を正式に要請するという前代未聞の行動に出たのだ。
第6話 光と影の塔(前編)
パラミシオンで5分経つごとに、元の世界では1時間が経過するという。クレドールは一刻も早い脱出を試みる。バーンとベルセアは、船体に取り付いた巨大植物を排除するために出動した。地上に降りた彼らは「旧世界」の遺跡(塔)を偶然発見する。遺跡に眠る旧世界の貴重な情報を得るため、クレドールが脱出の準備を整えるまでの間、クレヴィスは、シャリオ、ルティーニと共に調査に向かうことにする。手の空いていたルキアンも、彼らを運ぶためにアルフェリオンに乗って遺跡に向かう。塔の前に立つ4人。シャリオは、失われた楽園「プロメッソス」の伝説をルキアンに語る。かつて世界はひとつであったが、人々の夢や希望が失われてゆくにつれて、世界は「現実界・ファイノーミア」と「夢影界パラミシオン」とに引き裂かれてしまったのだと。

第7話 光と影の塔(後編)

ルキアンたちは二手に分かれて塔の調査を進めた。ルキアンは、上の階から不気味な冷気がしみ出してくるのを感じ取る。異様な気配に躊躇しつつ、彼とルティーニは中央管理室に向かう。クレヴィスとシャリオは書庫を調査していた。旧世界の実態が徐々に明らかになる。繁栄を誇った旧世界がなぜ滅亡したのかと、疑問を投げかけるシャリオ。そんな彼女に、クレヴィスは、旧世界の日常の中の狂気が描かれた1冊の本を手渡す。人々の心を蝕む影……シャリオが連想したのは、禁断の古文書『沈黙の詩』の内容だった。その頃、ファイノーミア(元の世界)では、ならず者たちのアルマ・ヴィオが悪事を働いていた。それをあっさりと撃破したのは、ナッソス公爵の令嬢カセリナの操るアルマ・ヴィオ、イーヴァであった。ナッソス家は反乱軍に味方し、現在も議会軍と交戦中らしいが……。
第8話 罪、あるいは楽園の瘡痕
旧世界の塔は不気味な様相を次第に露わにしてゆく。中央管理室に着いたルキアンとルティーニは、何者かに惨殺された旧世界人の白骨体を発見する。最上層に登るための「鍵」を彼らが探している間、シャリオはクレヴィスに奇妙な話を始めた。現在の世界に残るおとぎ話や伝説の中には、実は旧世界滅亡の謎を暗に語っているものが含まれているのではないか、と。そして、魔物や妖精の世界であるパラミシオンの中に、なぜ旧世界の科学文明の遺跡があるのか? シャリオの推理にクレヴイスは……。4人は合流し、下の階と隔離されていた7階に進む。そこで彼らが発見したものは、人間を魔物のような「何か」に造り変えようとする戦慄すべき人体実験の痕跡だった。旧世界の闇――光に満ちた平和な社会の背後で、旧世界人たちが秘密裏に進めていた「アストランサー計画」とは?

第9話 翼あるもの

ついにルキアンたちは塔の最上階に達する。何ものかが発する凄まじい妖気に引き寄せられ、死霊までもがうごめく狂気の世界。その闇の果てには、もっと恐ろしい「何か」が今なお厳重に閉じこめられていた。危険を感じて脱出する4人。だが、その前に立ちふさがったのは、侵入者から遺跡を守護する「アルマ・マキーナ」だった――ムカデの姿をもつ巨大な機械生物は、彼らを塔の秘密と共に葬ろうとする。クレドールもアルマ・ヴィオで応戦するが、科学の粋を集めた魔獣に歯が立たない。コルダーユで多数の敵の命を奪って以来、戦いを拒否し続けるルキアン。しかし、クレヴィス、シャリオ、ルティーニの励ましや、旧世界人の非道な実験に対する彼自身の怒りが、ルキアンに再び戦う決意をさせた。旧世界の闇の遺産に向かって、アルフェリオンのステリアの力が爆発する!
第10話 心、揺れて
無事にネレイの街に帰還したクレドール。乗組員たちは束の間の休息を楽しんでいた。本部に赴いたクレヴィスとランディは、ナッソス家との和平交渉をデュガイスから依頼される。そのナッソス家の館では、公爵に雇われていた繰士デュベールが、カセリナに別れの挨拶を告げるのだった。元々ギルドに属する自分が反乱軍や帝国軍に味方することはできない、とデュベールは言う。彼を慕うカセリナは、引き裂かれるような思いで別離の時を過ごす。メイたちと昼食中のルキアンの前に、シャリオが現れ、クレヴィスから重要な話があるという。クレヴィスは、自分たちと共に戦ってくれないかとルキアンに尋ねる。戸惑うルキアン……。同じ頃、王都エルハインでも動きが起こり始めていた。国王軍の誇る機装騎士団「パラス・テンプルナイツ」の面々が招集を受け、城に到着したのだ。