ステージ6−1:やきもち焼き

PHOTO=C5R
ゲームのクリア達成率が半分を超えた日、ガレージに去年のルマンで
満身創痍ながらも、クラストップで完走して見せたC5Rがやってきた。
今までGTカーは、GT300カテゴリのものばかりだったのでこのクラスのが
手に入ると、走りも今までと違ったものになる。
今まで、GTのNSXやMR−Sで苦労していたレースが、これなら対等か
それ以上の成績を比較的楽に残すことができるのだ。
勝てるレースが格段に増えたと言ってもいい。
こうして、今度はC5Rで走り込む。
サーキットによし、耐久レースに良し。
3000回転からでも十分なトルクを発生し、良く曲がり、良く止まる。
アーケードモードの残りはゾンタに任せ、C5RはGTモードで活躍する。
黄色と白の64号車は、調整を加えながら次々にレースをクリアしていく。
こうして、GTモードとACモードを交互に行き来しながら、地道に、確実に
金杯を増やしていく。
他のクルマに浮気している間、1200kmを走ったTMEがガレージで
やきもちを焼いてる。
でも、お前にもちゃんと活躍の場は残してある。
ACモード最終2戦目、タヒチはゾンタでは走れない。
久々にTMEが南国の日の下に顔を出す。
オイルも換えたので、エンジンの吹けもいい。
スタートから快調に飛ばしまくる。
手を離したら、どこかへ飛んでいきそうな位元気がいい。
しかし、意気揚揚と走り出したのは良かったが、ダウンフォースをダート用に
しないまま走り出したため、オーバートップで天を仰ぐ。
だが、この子はそんなことじゃへこたれない。
もちろん、その後は相手をバックミラーから消し去り、ゴールへ帰ってきたのは
言うまでも無い。
ステージ6−2:雨の夜、我が道を行く
ゲームも終盤にさしかかった、ここまで来て始めて気がついた事がある。
GTカーも、更にチューニング出来る車種があるのだ。
それによって、我が金杯回収部隊は、戦力アップを果たし、常勝街道を
邁進する。
C5Rも、ゾンタレースカーも時速380kmオーバーを可能としていた。
もはや、どのレースにも敵はいない。
そして、ACモード最終戦。
雨の夜、スタートグリッド4番目には、我が黒猫が鎮座する。
その銀色の目が見据える先は、先頭1番グリッド、レナウンの衣を羽織った
55号車。
ACモードも、後半になると自分のラインを強引に守って意固地に走ろうとする
敵車との戦いになっていた。
中には、酷いぶつけ合いの末6台が砂の上で踊っていたレースもある。
だが、もう慣れた。前にさえ出てしまえば、ぶつけられることも無い。
そのための馬力を、今は手に入れている。
あとは、あの55号車の前に、いつ出れるかだけが問題なのだ。
レースはスタートした。
やはり、奴はスタートからぐんぐん飛ばしていく。R390がそれに
引っ張られて付いていく。
距離は離れたかに見えたが、シケインで後続を巻き込んでクラッシュ。
おっつけ駆けつけたゾンタも巻き込まれそうになったが、イン側の相手の
鼻先を掠めるようにクリア。バックミラーに、赤緑のチェックは見えない。
前に出た。
自分より先に、さらに1台がいたが、高架下の高速Rでインをついて抜き去る。
今のうちに前に行かせてくれ。
甲高いエンジン音が背後に迫り、バックミラーに奴が映る。
低速R、何とか抜かれずに立ち上がる。
ここから先、ストレートまで抜きどころは無い。
問題は、ホームストレートだ。
スリップに付かれなくとも、奴もこちらを抜き去るだけのパワーを持っている。
だが、敢えてブロックはせず、相手の好きなラインを取らせる。
こちらの6速ベタ踏み、スリップに付かれないラインで2台の距離は殆ど
変わらない。
やはり、最高速では互角と見た。
シケインでブロックして前を維持、低速R、そして2回目の濡れたS字へ。
しかし奴は、どうもこのコーナーを苦手としているようだ。
立ち上がりでお尻を振っている。
だが、こちらのグリップがパワーに負けると、奴が追いついてくる。
トンネルの中、激しく押し合う。
2台が並んでストレートに出る。
長い、長い雨の夜にエンジンと排気音が響き渡る。
その後の事は、よく覚えていない。
何度もぶつけ、当てられ、滑り、押されて、5週目のゴールに帰ってきた。
俺の前には、誰もいない。
奴に、勝ったのだ。
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