実は、ぼくは持病がある。
病名も、その原因も不明なのだが、おおよその症状は、
-- まず最初に、目が見えなくなる。(全部ではなく、視界の一部分だけ。)--
-- 30分ほどで治って、次にものすごい頭痛がおそってくる。--
-- 吐き気をもよおすので、とりあえず全部吐いてしまう。--
一晩寝れば、治るのだけれども、しばらくは、頭痛と肩凝りに悩まされる。
全く厄介なものだ。これのせいで、普通に生活するのすら、ままならないときがある。
眠れなかったり、食べることができなかったり。遊びに出かけるなんぞもってのほか。
もっとも、普通の生活をしていないから、こんな病気になるのだろうけど・・・。
京都に来てからというもの、体調がすごく悪くて、この症状がひんぱんにでていた。それで、新しい部屋に必要なものをそろえるのに本当に苦労した。
具合が悪くて出かけられないし、それに、お店や銀行、区役所など、場所がよくわからない。
まあ、えてして初めての所に越したときは、不慣れだから、いろいろと動きづらいものだけれども。
それにしても、僕は、引っ越しの一通りの手続きなどが終わった時点で、全然外出しないようになってしまった。
・・・・・・・・ だって臭いんだもん ・・・・・・・
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京都にはいったいいくつぐらいの寺や神社があるのか、全然興味ないけれども、 しかし多すぎる。
僕のマンションの半径1kmぐらいの中にも、10以上はあるだろうか?数えるのも面倒なほど。
京都っていうのはそういうところだから、いいのだけれど、困るのはその臭い。
線香のにおい・・・だ。
普段は全然臭わないし、近所の寺社でも線香のにおいなど、しない。
どういうわけか、繁華街のど真ん中にある小さな神社で、いつも線香をたいている。これにまいった。
前の日に具合が悪くて、ゲーゲー吐いたりとかして、それでも休みの日しか出かけられないから、はじめのうちは無理っくり外出してた。
靴下とか、鍋とか、カラーボックスとかを買いに街をうろうろすると、どうしても1回はこの神社の前を通る。
ただでさえ具合が悪く、頭痛、肩凝りなどひどくてボーーっとしているのに、そこに線香のにおいなんかがしたら、意識も遠のく。
実際、街を歩くときは、いつもめまいがしていた。
やや薄くなった意識の中、目に映る京都の街並は、
霞がかかっているような・・・・・
ねじれてもいるような・・・・・・
次元の違うところにいるような感じがした。
「もしかしたら、甲鋳姿の死者の霊がわんさといて、他所者の僕に悪さをしているんじゃなかろうか。そうか、そのせいで体調がわるいのか・・・。」
線香のにおいは、そんな発想をおこさせる。
悪い体調をさらに悪くしたり、思考がトリップしたりと、ロクなことにならないので、いつのまにか全然でかけなくなってしまった・・・・・。
これのせいで、かなり長い間、京都の街に親しみを感じることができなかった。
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1年以上たって、知り合いの勧めてくれたお医者さんのおかげで、持病のほうは、だんだんよくなってきた。
それとともに行動範囲も広くなり、活発に動けるようになった。
病気の主な原因は、-- 遺伝 --だと!
(そう言や親父もそうだ)
体調が悪かったのは、単に疲労やストレスが溜まっていたせいらしい。
決して、線香のせいでも、霊の仕業でもない。
体さえ良ければ、線香のにおいも、全然平気。
むしろ、「京都らしくていいじゃないか!」などと思う。
やれやれ、勝手なものだ。
TO BE CONTINUED
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其の1、京都の初日 |
其の2、軟水、硬水 |
其の3、ファッションセンス |
其の4、街の におい |
其の5、引っ越しのサカイ |
其の6、6月1日 |
其の7、八坂神社 |