ふと職場のカレンダーに目をやると、赤い日のやたら多い5月がなくなって、 もう6月になっていた。早いものだ、京都に来てひと月と半になる。
6月1日といえば・・・・そうだ、あの娘の誕生日だ。
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六本木で働いているころに、職場で一人の女の娘に会った。
僕と同い歳ぐらいなんだけど、どう見ても20歳そこそこにしか見えなくて、 手足が長くて、顔も小さくて、背も・・・高いな。
"雑誌に出てくるモデルのような" といえば、月並ではあるが、一番手っ取り 早い表現かな。
髪の毛は長くて、日によっていろんなヘアースタイルで、またそれがよく似合う。
僕の好みといえば、ショートカットとポニーテールなんだけど(ん?前田大尊?) 実際にビッタシ理想どおりのヘアースタイルには、なかなかお目にかかれないものだ。
けれどあの娘はいろいろと本当に良く似合ってたな。
ひいきめに見すぎだろうか。またまた月並ではあるが、笑顔がかわいい。
文句なくかわいい。あまり女の子は意識してないかもしれないけど、笑顔ってのは、女の強力な武器 だと思う。
なにげにクスっと笑われたときのその笑顔が、とてつもなく可愛くて、全身に 脱力感を感じるほど(効果音は、ヘナヘナ〜〜)だったら、そりゃあ、単純な男ら は、その笑顔見たさに、くだらないジョークの一つや二つは、ストックしておくようになりますって。洋画でよく、あらかじめ考えたジョークを、しかも練習までして、ヒロインに話し て、くどこうとするシーンを見かける。
なんとなく、解るような気がする。そんな訳で、僕も、彼女好みのジョークを常に頭の片隅で考えながら、働くような毎日だった。
日に日に会話の量が多くなる・・・・・
日に日に話の内容が、深くなる・・・・・毎日なんとなくソワソワしてる。
電話番号をもらった時なんか、もーー「今なら空だって飛べる!!」って状態。
速攻家帰って電話の前に正座した記憶がある。ぽつぽつと僕に相談事なんぞするようになって・・・・
だんだん我慢できなくなって・・・・・・・・・・・・・・・ 告白した ・・・・・・・・・・
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・・・・・・・・・・ 玉砕した ・・・・・・・・・・
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とまあ良くある話なんだけれども、その後僕は転勤になり、彼女もやめてしまった。
風のうわさでは、田舎に帰ったとのこと。
あの娘の田舎はたしか・・ 大阪!!
あの娘は今、どうしているのだろう?
もし本当に大阪に帰ったのであれば、彼女の夢はかなわなかった事になる。
僕は東北出身で、今回初めて関西に来たものだから、
大阪と京都の距離など感覚的に知るはずもなく・・・。
同じ関西で、隣同士の街だから、もしかしたら、街なかでばったり、な〜んていうありえないことを期待しつつ、
カレンダーの大きな6を眺めていた。
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これまた随分あとになって、京都駅の構内の、ドリンクか何かのポスター を見たとき、本当にびっくりした。
彼女にそっくりだったから・・・。
そのポスターは、京都だけなのか、全国JRの駅にあるものなのかは 知らないけれども、その中のおさげ髪の女の娘は、まさに彼女そのもの だった。
「ああ、田舎に帰ったっていうのは、本当だったのか。」
ポスターと彼女は、全然関係ないんだけれども、なんとなくそんなふうに 感じられた。
以来、そのポスターを見る度に、京都での偶然の再会を、ちょっぴり期待 するバカな私であった。
TO BE CONTINUED
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其の1、京都の初日 |
其の2、軟水、硬水 |
其の3、ファッションセンス |
其の4、街の におい |
其の5、引っ越しのサカイ |
其の6、6月1日 |
其の7、八坂神社 |